これまでの漆の歴史、確立されてきた和の心である今までの漆とは
漆の起源ともいわれる漆塗りの土器の発見はおよそ9000年前の縄文時代前期、この土器の発見で日本が世界初の漆の源であると考えられるようになりました。以降飛鳥時代~平成まで脈々と受け継がれている漆の歴史について、各時代別にご紹介いたします。
飛鳥時代・・・仏教の伝来と共に仏具の製作が盛んになりました。みなさまも一度は聞いたことのあるかと思われる法隆寺の「玉虫厨子」は漆塗り仏具の代表とも言えます。
奈良時代・・・漆と麻布のみで作られた脱活乾漆像で知られている、世界的に有名な仏像彫刻の「阿修羅像」が作られた時代です。脱活乾漆像は像の相貌を柔らかく感じさせてくれます。
平安時代・・・栄華が極められたこの時代では漆塗りの名器も数多く作り上げられました。中でも「中尊寺金色堂」はお堂全体に蒔絵や螺鈿などの漆の至高の芸術が施されており、まさに極楽浄土を体現する美しさです。
鎌倉時代・・・紀州漆器の起源である根来塗が隆盛した時代です。この時代の根来塗は今でも東京国立博物館などで見ることができるのですが、この時代にすでにそれほどしっかりと作られていたことが伺える素晴らしい逸品になっています。
室町時代・・・茶の湯文化と共に京漆器が栄えた時代でもある室町時代は、豊臣秀吉の霊を祭るために作られた霊廟が有名です。この霊廟に施された「高台寺蒔絵」と呼ばれる蒔絵が施された調度品は、この時代の代表的な輸出品にもなりました。
江戸時代・・・日本国内のあらゆる文化が花開く時代でありました。漆の文化も例外ではなく、「船橋蒔絵硯箱」を作った「本阿弥光悦」らが様々な名品を残しました。中でもこの時代を代表する漆製品である「印籠」は、薬丸を入れるだけでなく、上層階級のステータスとして愛されました。
明治時代・・・日本の代表的な工芸として、漆が世界各国へ用いられました。柴田是真氏、六角紫水氏、白山松哉氏が創設した「日本美術院」は、現代漆工芸の基盤となる非常に重要な存在でした。
大正~昭和時代・・・漆芸品が芸術品へと歩みを進める時代になります。松田権六氏、大場松魚氏などの人間国宝と呼ばれる偉人達が活躍を極めました。高橋節郎氏が代表とされる漆パネルの作品達は、漆をアートとして昇華させる特筆すべき逸品であるのではないでしょうか。
平成時代・・・現代においても漆工芸は日展をはじめとする展覧会で活躍するほか、家庭にも漆器はいまだに根強く普及しています。長野オリンピックでは、金銀銅の各メダルを各金属と組み合わされた漆のメダルが世界に発信されていくのが印象的でした。
このように各時代で漆工芸品というものは日本人である私たちだけでなく、世界に対しても影響を与えている、素晴らしい工芸品であり続けてくれています。もちろん漆工芸が活躍する背景では職人の弛まぬ努力と漆に対する愛で支えられていることを忘れてはいけません。
これらの偉人たちの働きを、今後私たちはどのように漆工芸に還元していけばよいのかは、非常に重要であり、今後の漆工芸を見るうえでとても楽しみなことですね。
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