漆は人を繋ぎ、人に継がれる。私たちと共に生ける器

これまでたくさんの漆についての知識をご紹介させていただきました。文字数の関係上なかなかお伝えしたいことをすべてお伝えすることはできなかったり、字足らずで誤解を与えてしまった点も見受けられるかもしれませんが、ご容赦いただけると嬉しく思います。

私がこの記事を書くに至った理由は一番初めに申し上げた通りに、漆に携わる仕事をしようとしている友人に触発されたことがきっかけでした。

その友人は父親が輪島塗の蒔絵師で、その父の背中を見て育ったからでしょうか、現在東京で社会人になった本人も、ゆくゆくは輪島塗の職人として地元に戻り、生まれ育った地に貢献したいと思うようになったそうです。

私はその話を聞いたとき、その友人の有り方に強く憧れました。明確な目標があるということにも、その目標が美しい形をしていることにも、私の羨望の的になるには十分すぎるほど素晴らしいものでした。

そうして私は友人の見ている世界に少しでも近づくために、今までなんとなく美しいものだと思っていた程度の工芸品について、そして漆について、この機会をお借りして本格的に調べることを決意し、こうしてご紹介させていただきました。そのことについて、お付き合い頂き誠にありがとうございました。

こうして記事を書かせていただくうえで振り返ってみると、日本の代表的な産業であるのにもかかわらず、漆についてほとんど知らないことだらけだったのだと改めて思い知ることができました。

漆器を作るためには木地挽き、下塗り、中塗り、上塗り、蒔絵、沈金・・・幾重にもなる作業工程にそれぞれ専門家が存在して分業制が取られているという事、漆器と言えば輪島塗くらいのイメージしかなかった私は日本4大漆器など日本にある漆器の産地の多さに驚きました。

それでも中国産の漆が増えている漆器業界ですが、その事を憂うことないほど、今なお国産漆器の人気の根深さに驚きと安心を隠せませんでした。

漆器も職人によって名前や種類が多数存在するのも、手作りならではの良さですよね。そういえば、今更になってしまいましたが「漆」の語源は「麗し」「潤し」とも言われているそうです。漆器はその麗しさゆえに何気ない私たちの生活に潤いを与えてくれるものとして、その語源に見劣りしない素晴らしいものでしたね。

最終的に私がみなさまにお伝えしたいことは、最初に申し上げたことと変わりありません。この記事を読んでくださった皆様が、読む前より漆のことを少しだけ好きになってくれていれば、それだけでもこの記事に価値は生まれることでしょう。

もう少し欲を言えば、実際に漆の産地に足を運び、工芸品の匂いを肌で感じてみたいという思いで実際に行動してくださったのならば、それは誠に重畳なことであると思います。

日本はかつて漆産業に従事していたのではありません。今も日本だけにとどまらず、世界で漆器は生きています。そんな漆器のことをどこかで思ってくださる皆様に、今後の一層のご活躍をお祈りいたします。改めまして、拝読いただき誠にありがとうございました。