自宅でもできる漆工芸職人の技、漆の特性を生かした技術『金継ぎ』

今回は漆の技術のご紹介です。「金継ぎ」という言葉はご存知でしょうか?「金継ぎ」とは、漆の特性である接着能力を生かして破損した漆を修繕する漆塗りの技法です。単なる修理というわけではなく、修理後の破片の継ぎ目を「景色」と称して、修理前とはまた違った趣を見出す楽しみ方ができます。

修繕前にいかに近づけるかというのではなく、あえて修理した後であることを誇張して味に変えてしまうことは日本人独自の感性ですよね。金継ぎの歴史の発端は室町時代まで遡ると言われています。室町時代と言えば前にこの記事でも紹介しましたよね、茶の湯の時代がキーワードになってきます。

茶の湯の時代が全盛期であったころ、茶の湯は富裕層や権力者の娯楽であり、茶器というものはそのような人々にとっても非常に高価で大切なものとして扱われていました。その茶器が壊れてしまうという事は、現代における意味とは全く異なるほど大きな意味を成していたことでしょう。

なので、高価で大切な茶器が壊れてしまったとしても、新たに趣を見出す方向へ成長を遂げた結果、「金継ぎ」という素晴らしい技術が生まれたのですね。さて、そのような技術が現代まで受け継がれており、かつ私たちにも習得できるということで、「金継ぎ」とはどのような手順で行うのでしょうか?

実は金継ぎは通常5STEPほどで完了してしまうほど手軽に行うことができる作業なのです。まぎれもなく職人の技術でありながら自宅でも実践できる金継ぎの、各STEPをわかりやすくまとめてみました。割れたティーカップを想像しながら一緒に追ってみましょう!

STEP1⇒まずは割れた漆器の破片をすべて集めて断面以外をマスキングテープで保護しましょう。破片を集められるだけ集めておくと仕上がりも変わってきます!

STEP2⇒接着剤となる漆を断面に塗布します。漆はそのまま使用するのではなく、小麦粉を漆と水で練って接着剤としての漆を作っておきます。

STEP3⇒接着にはみ出た漆を削り取ったら、刻苧漆(こくそうるし)を用いて欠けた部分や隙間を修復します。漏れを防ぐためには不可欠な作業なので丁寧に行いましょう。

STEP4⇒サンドペーパーで刻苧漆の塗布箇所を整えたら、乾いた後に継ぎ目の上から再び接着用の漆を塗りましょう。仕上げの見栄えを良くするために弁柄漆を用いると良いでしょう。

STEP5⇒漆の塗布箇所に金粉を蒔いて仕上げの蒔絵をしましょう。この時、金・銀・白金の金属粉を蒔いて仕上げに磨けば完成です。白金を用いて行った金継ぎを特に「白金継ぎ」と呼ぶそうです。

ある程度の簡略化された作業工程ですが、大まかな流れは以上の通りです。お気に入りのティーカップなどを修復できるだけではなく、金継ぎをしたことでオンリーワンのカップになり、さらに思い出に残る1品になること間違いなしです!

このように金継ぎは自宅でも出来、今の時代では材料もホームセンターですべてそろえることができます。しかし注意してほしいことは、前にも言った通りに、生の漆を用いる作業では、かぶれの心配を忘れてはいけないという事です!

もしご自宅でお気に入りのカップやお皿を割ってしまった方がいたら、この記事のことを思い出していただいて、生の漆の取り扱いに十分注意していただいたうえで、大切な食器をさらに魅力的なものへ変えていただきたいです。