朱漆の下に風情あり、「用の美」を掲げる確かな風格『紀州漆器』

さて、漆器ができるまでを学んだあとは、日本4大漆器について学んでいきましょう!漆器の流派は様々です。青森県には津軽漆器、沖縄県には琉球漆器、東京都にも江戸漆器という漆器がございます。

他にも奈良県、神奈川県、島根県などなど・・・数多くの都道府県に流派が存在します。それだけ日本にはたくさんの漆器の流派が存在しますが、その中でもとりわけ強みを持っており、日本の漆器界を代表するのが日本4大漆器なのです!

今回紹介する「紀州漆器」は和歌山県を代表する漆器の流派です。中でも和歌山県海南市の北西部にある「黒江地区」を中心に広がる流派で、その始まりは室町時代であるといわれています。

紀州漆器には「根来塗(ねごろぬり)」という最大の特徴がございます。これは、紀州漆器の起源の一つである那賀郡岩出町の根来寺で、僧侶たちが自分たちの手で、寺で使用する椀や盆などを作る際に作った塗物から名付けられた塗り方です。

下地に黒漆を用いて、その上に朱色の漆をあしらったもので、「日本4大漆器の中で朱色の漆器」と言われたら紀州漆器であると推察できるほど印象に残る上塗りです。

古い漆器ではこの上塗りの朱色の漆器が摩耗してはがれてくると下地の漆黒が顔をだし、模様のごとく露出します。この現象は、未熟練の僧侶が下地作りや下塗りをした際に、上手く木地を平らに出来ず、凹凸を残したままで朱漆を塗ったせいで、使用を重ねるうち自然に朱漆がはがれてしまったことから起こったものです。

本来は失敗作の意味合いが非常に濃く、本人たちには恥ずべきことだったのですが、このデザインに却って趣を見出し、今ではわざと使い込んだように初めから朱漆の剥げた漆器を制作するほど人気があります。

このように朱漆が特徴の「根来塗」ですが、この朱漆をあえて塗らずに黒漆のままで完成品にするものは「黒根来(くろねごろ)」と呼ばれ、茶道具として好まれて用いられることがあります。紀州漆器は朱漆という概念があることで多様な趣が見出せる漆器なのですね!

そんな紀州漆器の産地である海南市には「うるわし館」というものがあり、ここでは漆器の販売・展示・資料などさまざまな紀州漆器についての情報が詰め込まれている、そんな会館があります。

私がお気に入りの展示品の一つに、青年部が毎年作成している「ジャンボ漆器」というものがあるのですが、ロードバイクに漆器を施したり、原動機付自転車に美しい朱漆を施したりと、非常にユニークかつ魅力的な漆を見ることができます。

また海南市では、今以上に紀州漆器について多くの方に知ってもらおうと、常に努力を惜しまずに漆器について発信しております。2016年も11月に第28回になる「紀州漆器まつり」が開催されました。

このお祭りでは紀州漆器の見学、購入ができる大漆器市が開かれるほか、地元の学生による吹奏楽ステージや、伝統芸能の披露など、紀州漆器だけでなく街全体としての魅力が詰まったお祭りなので非常に足を運びたくなりますね!

加えて、蒔絵体験も実施しています。団体様だけでなく個人様からも受け付けており、お盆とお弁当箱から蒔絵体験を選ぶことができます。出来上がった作品は当日中にお持ち帰りいただけるので、旅の思い出にもなりますね。

画像を載せることができなく残念ですが、紀州漆器の色鮮やかな漆器の数々、紀州漆祭りの風景は紀州漆器公式ホームページに掲載されているので、ぜひご覧ください!

このように漆器を盛り上げようと尽力している地域はたくさんあります。残り3つある4大漆器の産地ではどのように盛り上げているのか気になりますよね!さっそく次の産地にも顔を出してみましょう!