近代漆器の先駆者、生産額は日本一を誇り、誰もが存じる『山中漆器』

続きましては、日本4大漆器の中でも、生産額全国1位である「山中漆器」のご紹介です!「山中漆器」は安土桃山時代に石川県加賀市の山中温泉地区に、木地職人の集団が移住し、温泉の土産として振る舞ったことから広まったと言われています。

加えて江戸時代中ごろから、会津・京都・金沢から塗りや蒔絵の技術を輸入することで、木地だけでなく、茶道具としての漆器の制作が発展していきました。

以前、漆は分業制であるという話をしましたね。木地師・塗師・蒔絵師などそれぞれの工程で専門家が存在しました。「山中漆器」で栄えている石川県では「木地の山中」「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」というように、県内の各地域でそれぞれに特化した専門家達が点在しており、県全体で強力な漆器の産地を成しています。

その中でも、「山中漆器」の起源からも分かる通り、「山中漆器」では木地師が多く、特に轆轤挽物木地(ろくろひきものきじ)の分野では、職人の質・技術共に日本の頂点に君臨しています。それに、能登半島の美しい山々と自然の恵みを見渡せば、それだけでない理由にも頷けますね。

その木地技術は無形文化財「山中木地挽物」として認められています。人間国宝も数多く存在するのは、生産規模・職人規模が日本一と認められるには十分な要件ですね。

そして山中漆器は保有する自然の恵みだけでなく、更なる革新のため、プラスチック製の漆器にいち早く取り組んだ、というのも山中漆器の特徴です。近代漆器にいち早く取り組んだ結果、日本一と言われる生産額を樹立することに成功したのです。

そんな山中漆器で、さらに注目したいのは木地だけでなく「輪島塗」です!漆器は最近では、美しく目で楽しむ「造形美」のように扱われることがありますが、本来は生活で用いる「機能美」であるべきなのです。

輪島塗は「丈夫さ」に重きを置いた塗り方です。下塗りに用いる地の粉(じのこ)は自然豊かで、プランクトンの死骸を含んだ豊富な輪島の珪藻土を用いています。顕微鏡で確認することのできる無数の小さな穴に漆が染み込むことで、堅牢な器へ進化していきます。

このように輪島塗は、昔ながらの製法で「造形美」だけでなくしっかりと漆本来の持ち味をさらに助長する「機能美」を尊重している見事な漆器なのです!ちなみに、輪島では漆を塗る専門家のことを「塗師屋(ぬしや)」という特有の呼び方があります。「塗りの輪島」ならではですね!

加賀市には山中漆器が一堂に揃うという謳い文句で「山中漆器伝統産業会館」がございます。紀州漆器のときと同じく、漆器の資料や販売、展示を行っている施設です。ですが、山中漆器だけでなく「輪島塗会館」がございます。

訪れることで、一番漆器を体で感じることのできるのは石川県かもしれません。もし本格的な山中漆器を感じたくなったのならば、加賀市や輪島市には一度足を運んでみてください!「山中漆器祭」「JAPAN漆YAMANAKA」「漆器感謝祭」など、漆にちなんだイベントが盛りだくさんで、訪れた人を満足させること間違いなしです!

以上が山中漆器の紹介でございます。いかがだったでしょうか?石川県では地域で専門家による分業がなされており、かつそれぞれの地域は非常に有力な漆器を生産していますね!一度訪れると町の一丸となっている雰囲気が味わえる気がしてきます!

さて、紀州漆器は雅な根来塗が美しかったですね。山中漆器は轆轤による木地挽物が非常に強力な持ち味でした。では次に紹介する日本4大漆器はどのような持ち味が楽しめるのでしょうか、さっそく舌鼓です。