初めにちゃんと復習しておこう!漆とはそもそもどういうものなのか

まずは漆というものはどういうものか復習していきましょう!漆と言えば英語でjapanと表記されることもあるそうですね!これは江戸時代に漆製品が日本のおもな貿易品であったことから、漆や工芸品を総称してjapanと呼んでいたことから来ているそうです。だからと言って、海外で漆=japanが通用するかと言えば難しいそうですが・・・。

漆はもともとウルシノキから採取できる樹液なのです!採取する際はウルシノキの表面を剥ぎ落す「皮剥ぎ鎌」、ウルシノキに掻き傷をつける「掻き鎌」でウルシノキに日を空けて何度か傷をつけ、数滴ずつ採取するそうです。(ちなみに「皮剥ぎ鎌」と「掻き鎌」は使用される地方によって呼び方が変わるそうです。)

このような手の込んだ作業を経てもウルシノキ1本からは200㏄ほどの漆しか採取できず、ウルシノキから漆が採取できるようになるまでに10年ほど木を育てなければいけないので、それだけでどれだけ貴重なものか計り知れますね。

そしてそのウルシノキから採れた貴重な漆を加工したものが天然樹脂塗料である漆になるのです。加工前のいわゆる生の漆を見る機会はあまりないと思いますが、見た目は茶色のペンキに似ているものです。

しかしペンキと漆は似ているようで実は大きな違いがあります。それは固まり方です。一般的にペンキを乾かすときには風に当てて乾燥した場所に曝すことで乾燥させますよね。ペンキを塗布する時にも換気が必要ですし、乾かすために「乾燥している」ことが重要なのがペンキです。

一方、漆を乾かす方法はというと「化学反応」なのです!そしてそれには適度な室温(約24~28度)と湿度(約70~85%)が重要になってきます、つまり「湿っている」ことが大切なのですね。漆が乾くには漆の主成分であるウルシオールと酸化酵素(ラッカーゼ)の反応が必要になります。

ラッカーゼが空中の水分から酸素を取り込むことでウルシオールの粘度が高くなり、酸化重合します!(ペンキで言う乾燥状態になります)そして、乾くための酸化重合をするためにある程度の温度が必要になるのです!じめじめしたあったかい場所が何かを乾かすなんて、不思議ですね。

この乾かし方の違いから、漆はペンキのようにすぐ乾く、というわけにはいきません。早くても触れるくらい乾燥するまで10時間、お味噌汁椀のように熱いものを入れる容器になるまでには1ヶ月は放っておく必要があるのです!

少し難しい話になってしまいましたが、簡単にまとめると「ペンキは乾燥した風あたりの良い場所で乾く」「漆はあったかくてジメジメした場所で乾く」という、何とも正反対の乾き方をするのです!これだけで既にとてもおもしろい知識だと思いませんか?漆についての興味の入り口になってくだされば幸いです!

ちなみに漆は高価なもので素人には購入できないとお考えの方もいらっしゃると思いますが、実はチューブ単位で購入することができます。高いものから安いものまでさまざまな漆が存在しますが、そのお値段は50gあたり1,000円~5,000円ほどで販売されています。

ここで注意していただきたいことは、チューブの漆は生漆ですので、かぶれるということです!かぶれにくい生漆も販売していますが、十分な心得がない段階で手を出すことは危ないかと思われます。値段がどうこうというよりかぶれを心配して生の漆には安易に手を出さない方が良いですね。

では我々が手を出しづらい漆を使った漆器を、職人さんはどのように作っているのでしょうか?次からの項目では、漆器ができるまでの工程をご紹介いたします!