「漆」器と言えど土台が大切。『木地挽き』の職人技

ここからはさっそく漆器についてお話していきたいと思います。漆器と言えば完成品のあの美しい器を思い浮かべますが、その美しい器はどのようにして出来上がるのでしょうか?実は漆器の制作工程はかなり奥深いものになっています。

漆器の制作には大きく分けて3工程ございます「木地挽き・塗り・加飾」の3つです。それぞれ分業制が取られており、「木地師(きじし)・塗師(ぬりし)・蒔絵師(まきえし)」という呼び方をされます。では今回ご紹介する木地挽きで、木地師はどのような作業をするのでしょうか。

木地師が何をする人かというと、木材の塊をお椀の形にする人です!その方法は木工用の轆轤(ろくろ)を用いて自分のイメージする器の形にしていくのですが、この作業を「挽く」といい、この「挽く」ことで出来たまだ塗装をしていない木製の器を「挽物」といいます。何となく「木地挽き」という工程のイメージができたでしょうか?

そしてこの作業、もちろん洗練された非常に繊細な技術が必要な作業になります。作りたい形を出すためにカンナや小刀などの刃物類、予定通りの削りができているかを確認するための型板など30種類以上もの道具を組み合わせて一つの挽物を完成させるのです。

実は、挽物専用の刃物はそれだけ種類があるのにも関わらず、市販されていないのです。すべて職人が自らの手で金属を熱し、金槌で叩き上げて作るのです。この作業をしているのが木を扱う漆職人なのが何ともミスマッチな気もしますが、木地師職人はそれほどスキルが要求される仕事なのです。

ですが、必要になるスキルはここからが本番なのです。実際に木材を削る作業ですが、これも非常に難しい作業なのです。同じ器の形を作りたいからと言ってすべて同じ道具を使い、同じ削り方をすればいいわけではありません。木材一つ一つ、固さや繊維方向から木理(細胞の並び方)まですべて違うのです。

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木地職人は高速で回転する轆轤を前に、木の性質を一瞬で見抜いて素早く正確に木を削り、同じ形に整形していかなくてはならないのです。まさに職人技ですね!

木地の種類は大きく分けて2種類あります。お盆やお重など、見た目に角ばっている板を組み合わせた木地のことを「角物(かくもの)」、お椀やお盆など、見た目が丸くなっている形状のものを「丸物(まるもの)」と言います。

他にも薄い板を楕円の輪っか上にしてお弁当箱などの形にする「曲物(まげもの)」厚い板を彫刻刀やノミで掘り進めていき、鉢やお盆を作る「刳物(くりもの)」があります。特に刳物では、木の固まりの状態から轆轤を用いることなく手作業で掘り進めていくので、複雑な円形、模様を表現することができます。

この木地挽きを特に得意とするのが日本4大漆器である「山中漆器」です!木地の生産規模が日本一番広いとも言われています。今回木地挽きの紹介にあたり、私も山中漆器の文献を参考にさせていただいたところが多くあります。

そしてご察しのことかもしれませんが、先ほど申し上げました通り漆器の制作は何工程にもわかれていることから、「木地師・塗師・蒔絵師」のように、それぞれの作業が分業されています。それぞれの作業を何人もの職人の専門的な技術が兼ね合わさっているので、出来上がった器にも深みが生まれるのですね。

また、日本4大漆器については後述させていただきます。盛りだくさんの内容なので、お気に入りの漆器の流派が見つかるといいですね!ではその前に、次の工程である「塗り」の段階についてお話していきましょう。